俺の考え方の基礎は明治生まれの父の影響で、俺が四十一歳の時に他界した。八十三歳だった。俺は盆と正月にはいつも十万円を親父に渡して喜んでくれたが最も欲しいのはお前の嫁さんだよ・・・といつも言っていた。三十五歳までは縁談もお見合いも来るが四十代になると激減する。余計な推測は入ってくる。変人なんじゃないの?とか種なしじゃないの?って。俺も数々の偏見を自身で受け止めてきた方だ。今はそこが緩くて独身だって、それが四十代でも五十代でも人々は静観してくれるようになった。今急いで結婚する必要はない男だらけで、今の時代なら俺も結婚はしていなかった可能性は高い。結婚は雷雨に似ている。その恐ろしさから逃れて一時避難している時に知り会うのが結婚相手である。デルスカイしておこう。俺にとっての、そしてあいつにとっての緊急避難場所だった。