エメラルド・ウーマン《深窓の令嬢ダブリュー編》〔52〕彼女は遊びに来たときに里子の購入したガラステーブルと青いビロード張り応接椅子二脚に絶賛で、どうしてこんないいものを購入したか、そればかりに終始するのです。里子はヒントにピントを合わせます。亜里沙がギターを常に爪弾いていたことです。音楽の感性秀でる人はファッションのみならず、家具にも敏感で、いい部屋を見つけたわね~って。今度うちんとこにも遊びに来て!と言われ一回だけお邪魔した。前方高い位置に小さな窓があって、そこから真昼の陽差しが薄く覗いて落ち着ける部屋だったのです。そこで里子は考えるのです。自分と亜里沙はもしかしたら前世に於いて姉妹ではなかったのか?と。いえいえそういう偶然なんてないだろうとは思うものの、彼女の仕草のすべては受け容れ可能なのです。それは後年結婚してからも顕著に思ったことで、夫や子供等よりも気が許せる・・・。これはどういう現象なのか、自分だけの固有心理なのか?心の中を見透かすように、亜里沙はこう切り出して来たのです。いつかは結婚せんといかんけど、したくない!!って。言葉はバラバラでしたが十分理解出来たのです。