エメラルド・ウーマン《深窓の令嬢ダブリュー編》〔54〕川柳投稿集をずっと読んでいくと、まるで秘境の域まで自分が達したことが分かって溜息が洩れて来る。自分の父親もしていたなあって、一気に思い出す。お布団の下にズボンを敷いて寝る習慣だ。コピー機の会社の勤めていた父は毎日欠かさず、ずぼんの皺をなくすために、折目をきちんとする為に、ずぼんを寝る前に敷いて寝たのだ。昔は土曜日も仕事で間違って、土曜日の夜に敷いてしまった時には、テレ笑いをしてその布団の下に敷いて寝た。里子が思ったのは習慣の持つ領域の凄味で、今でも年配の方々は実際にしている方もきっといるに違いない。そこまで鑑みると世代間の合意はこの一件で明らかになるのでは?とヒントを貰うのです。もしも今の若者がそれをしていたら里子は拍手ですが、三パーセントもいないでしょう。ベッド生活がほとんどだからです。畳に布団を敷き、翌日のずぼんをきれいにセットして眠りにつく...。里子の心に平成川柳の幕開けの予感がイグアスの滝のように噴出して来たのも当然です。