ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔178〕本屋でのアルバイトは規則に満ちてその内容は激甚でした。しかしキャロルはその商品管理術を見ながら大変だなあって思うだけで何も重労働はないのです。他のみんなが本の品出しや整理に忙しいときにもキャロルはレジ一本。そこで一日五時間を収めていればその日が終了。きっと仲間たちに、アレ!?って思われたでしょう。キャロルは辞書のコーナーの一角を受け持っていました。どういう訳かそこだったんです。もしもロシア文学の一角にいたならどうなったでしょう。例外なくキャロルの人生もここまでの文字シビアを持っていなかっただろうし、早速伯母が来店してブリタニカ辞書をセットで購入してくれる。彼女の考え方はいつもニッポン古来の常識を表に堂々出すタイプで、四十代までは全員弟子である身を強調するのです。お金は頂かなくても何かを学び絶対的権威の師匠に近い状態へ自分を持っていきやがて暖簾をしずしずと頂く。それも向こうの懇意によって。そういった古いといえば古い彼女の常識に教えられるものもいかばかりかあって、キャロルは伯母が相当悩んでいたこともわかっているんです。高校一年から二年にいくとき、なぜ、あそこまで頑なに勉強しなかったのか?あのときの反抗は一体なんだったか?教育者の伯母にそのキャロルの姿はどう映ったのでしょう。伊良林小学校に当時勤めていたんです。