サファイア・マン《かけがいのない男編》〔106〕協同的仕事が多い家庭内で、ひとりだけワガママを発動する彼の存在に対処する苦労もおざなりには出来ないものの、別の一面もしっかり学ぶ機会かもしれない・・・キャロルにとって第一の優先順位は子供です。そうなってくるとすぐにでも引き取って、長崎の実家のもとにいるふたりを呼びたくなる衝動に駆られて、それでもそこでの予測もあり手間取っていたのです。こういうワガママな男に限って、自分の意に添えない相手をよく思わないことです。レベルが高い人間だとの彼の思い込みを何とか覆したくとも、それが叶わないということは敗北だったのです。もちろん彼の上司の話も聴きに行きました。当時は赤ちゃんがリラックス出来るレストランなどありません。隣の椅子におくるみに包んだ赤ちゃんを置いて訴えます。どんな時にも子供が優先というこっちの気持ちを話していても、どこか相手はクールなのです。本人の優先が会社では鉄則で、本人がいってこない限り、どうしようもない、男という生き物はメンツが背広を着て歩いているようなものなんですよ・・・こころの中の何かが壊れてしまう衝撃で語彙力に優れるこの上司に心底たまがってしまう・・・メンツという背広を着た企業人、それなら家庭とはどんな場所なのだろうって。