アクロスプラザの安い床屋で、随分その日待たされた。しかしカットが690円。俺達が着いたのはお昼二時くらいで、とうとう自分の番が来るというのにアイツが直前でキレる。もうこんなに待たないといけないなら来たくない!って。あいつは690円の意味が全然飲み込めてないって俺はいなす。なだめる。お昼十二時から三時までが690円。それ以外時間帯ならもっと高いのだ。節約のために辛抱があって、その節約の効能結果を待っている段階があいつには労苦に取れたらしい。そして俺は珍しく気が短い俺が他の人間の気の短さをねぎらっていることに驚くのだ。いつもなら気の短い俺をなだめるのがあいつの仕事。俺は気の短い自分がどんなに回りに気を揉ませたか少しわかった。逆の立場に立たないとわからなかった。デルスカイしておこう。逆回りの立場だ。