サファイア・マン《かけがえのない男編》〔57〕キャロルはこころを整理整頓しなければやっていけない自分の究極の心理に気が付きます。一体どうみんなに弁明を?アタマが悪いとはやはり言えない。なぜなら、自分のプライドもですが、この学友を傷付けるからです。矢上は立地が良くて、諫早と長崎のちょうど中間地点。これを利用するか?親が転勤でそれによって転校?コレじゃダメ。家は引っ越してはいないから。周到に吟味するという性癖が身に付いたのもこの窮地に追い込まれたからで、一番いい方法が中々見つからないうちにもキャロルは言い訳が面倒臭くなって、当時は、スクールバスは今の矢上の停留所に停車していたのですが、キャロルは待つ時間をそこではない場所にします。あのマリアの役をした女の子のビルの横。電信柱がありました。その陰に立ってバスを待つのです。みんながこっちで一緒にしゃべろうよ?って言っても、バス到着ぎりぎりに行って来た途端滑り込むのです。辛い高校二年のハジマリでしたが、キャロルはこの一件に全然怯まない自分も同時に包括していたのです。この電信柱が親友だったのです。すぐ隣にそのお友達の家の台所の勝手口がありお手伝いさんが訝るようにキャロルを見て、アレ?というような表情に変わります。それでもキャロルは平常心を貫きます。