サファイア・マン《面白い男編》〔49〕この有名スナックをキャロルはすっかり忘却していたのに、自分で驚くし、たった一晩だけだったからか、思い出せばこころが塩辛かった。顧客の若い青年に、青年と言っても三十台は後半でしょうか、恵理と一緒につき、飲みに行かない?って誘われます。恵理はあゆみさんが行くならおともしますよ~と快くOKでキャロルもこの男性の知的水準に、こころの穏やかさに前々から惹かれていて、どんな歌をカラオケするのかな?とかしおらしいことを色々考えていたんです。その有名スナックはまずママが西欧系の彫の深い顔だちで、女の子たちのトークの上品かつ大人チックで、当時ナンバーワンのスナックとして長崎でも高いシェアーを誇っていたんです。キャロルは若い時に、浜口町のスナックに勤める前に一度、勤めた事があったんです。もちろん一晩だけ・・・。それで、まだアパートを借りる前だったこともあり、一晩ママさんの家に泊めてもらうんですが、あまりの店の女子勢にベッピン度に参ってしまい、親の病気を理由にすぐに辞めてしまうんです。だから一晩だけ働いたかなあ。それで、この店ならキープあるから行きたいな!って顧客に言われてキャロルが自分がそうやってお世話になったことすら忘れてしまっているのです。それも随分後から思い出すんです。