今朝キャロルは叔母の墓を参る。四十八年目の夏を迎える。亡くなった時には、矢上の家にいて、数日前から具合が相当悪くて、タヤも悩みはするが、自宅にいたい!という頑固な娘の希望を獲る。これにはタヤの最後の計らいもあったのだろう。芸術家というのは考え方の基本が異なる。常に優先はじぶんの作歌活動だ。残念だが叔母の作品のほとんどが残っていない。しかし歌人グループに属していた、そのことが光明だったとそう思う。新聞にも掲載されたというが、量を思うときに、結社に属していたことがプラスと出るだろう。叔母にもきっと推量があったに違いない。自分は子供を持てなかったけれど、子供を授かった人々にはそれなりの発見があるに違いない!と。それが何なのか、きっと黄泉の国で叔母ミチも期待しつつ日々を送っている。俺にはそう思えてならない。俺もキャロルとの出会いがなければ独身貴族で終わっていたからだ。誰とも結婚する予定が俺にはなかった。