サファイア・マン《緻密な男編》〔18〕人生を放浪するのが作家。その本当の苦味苦しみがやっとこさ見えて、昨夜は自分の中に幻を見たのです。温厚で角の取れた人格の輪郭。自分が少しだけ、大人になったような気持ちになったのです。あれだけ弟のことを罵倒されても仕事なんかする訳がないよ?とシゲコと長女が攻防する中で、キャロルは何も発言しません。その余地がないと言うよりも逆に人間の小ささを二人に見ていた。そんな、2、3万のことで、一体なんでそうまで、シャカリキになって、弟に早く働け!!と催促するのか?っていうことですよね。この弟の住んでいる和田家の家土地はタヤの裁縫の力で取得、それとキャロルが現在棲む土地。この所以を聞くときみんなびっくりします。伯母は書記人のようにキャロルを思い頼りにしていましたから、土地が和田家に渡った理由をノチノチの為に・・・と話してくれたんです。確かにキャロルも覚えているのは、矢上小学校在学時、苺畑をみんなで見に行きましょう!と着いた場所が隣接にあったここなんです。つまり深いハナシはわかりませんが、タヤと光男がまだ若い頃、今の矢上大橋のトンネル付近でみんなのゴミ処理のためにひと役を買っていて、その功労に当てられた土地だと言うのです。こうして、二人の努力を認める当時の行政がやはり個人の営みですが評価、こころを動かされたという見地は大事にしたいなあとキャロルは感謝するのです。そしてここで忘れずしたためておこうかなって。充分を超えるニッポン語の12分〔hun〕の定理です。12分もミニツが与えられたら何か進展あるってこと、そして現状打開もあるということです。