ルビー・ウーマン《黎明編》〔89〕この素晴らしい三文字にとうとう容子は遭遇した。不価値です。ああ、以前から試験的に使用していたが、その綱領がやっと完成したのだな。付加価値、不可知、そして無価値、不価値。この四番目にあたる不価値にどうやら軍配があがりそうです。直接の原因になったのは昨日の映画、トラ・トラ・トラ山村聡さんが、ニッポン男子の迂闊さを名演していたな~本当にほろ苦い場面であるし、切なさの極みでした。脇田大佐もそう思うかね?あの真珠湾攻撃は肝心の空母を見つけられなかったことが最大の悲劇だったと俺は思うし、もしも脇田大佐が違う意見なら言ってみたまえ。俺はむしろ容子と同位の視点で、日付けが替わるというあの海域に及んで、渥美清さんと松山英太郎さん演じる乗組員が話していた内容に驚きました。それはつまり時差だな?はい、ニッポンの攻撃通達を55分してから見たというアメリカの真相より何より俺が面白かったのは、あのふたりの率直かつ明瞭な疑問点です。若さが持っている理性的勘だな?そうです、いつの時代にも同位で、若者を最初から容子はターゲットとして狙っていた、そこに改めて気が付いて嬉しかったのです。どんな艦隊の名提督にも勝るのは若者の推量や疑問だと?ええ、そして無価値と不価値の違いを明瞭にして不価値の登用を容子は挙げてきました。どういう意味なのかね?無価値だったものが不動の地位を得ることです。ほお、これはやばすぎるな?グランドバリューです。