ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔76〕母が教師を辞めてしまったことは後生悔やまれると、後々伯母は申していましたがどうでしょう。母は教師を辞めその退職金で憧れのテレビをゲット。当時としては異例のことでした。あのケチな母がそれを何の迷いもなく購入したということが快挙であったし、キャロルにとってもユメの実現でもあったのです。教育ママの餌食になる時間が縮小されるぞ?との希望はあえなく消え、キャロルは母と言う人間の恐るべき強靭に屈服するのです。もし、男は強い、女は弱いなどという認識にある方々がいたら、ここで、修正してください、キャロルは真逆の思想で来ています。ここで、修正できないなら、読む必要すらない。読む価値がないからです。男は弱いし、か弱い。母が強靭な教育体制でいることを父は揶揄しました。そんなにしゃかりきにならずともいいのでは?その父の安易な方向性に逆に釘を刺す母。貴男には期待できないから子供に期待するのよ、それは当たり前のことでしょ?と。こうやって、毎日ののしられることで、父にも闘争心が湧き、もしかしたら、自分の牙を磨いていた?とも思いますが、根が温厚、神さまみたいな父ですから、限界というものを知っていました。母は、どういうわけか、悲惨な女の人から相談されることも多く、その頃も、家出を明日決行という女性から相談を受けています。どうしたものでしょう。理想家の塊のような母がこう言われています。貴女は自分の幸せに気が付いてない、私はもう耐えられなくて家を出るけど、これだけは言っとく、貴女はあの優しいご主人に感謝しないと?母は黙りこくっています。家出はしない方がいいのでは?とアドバイスしますが、女の意地にはどうもブレーキがありません。そういう無茶なことをしようとしている人間がアドバイスをすることが母には解せなかったのです。