サファイア・マン《かけがえのない男編》〔14〕もしも時間がとれて弟と我が家の車でドライブ出来たとしてもきっと彼の眼は虚ろでしょうし、彼が本当に心底求めているものは、身内同士でやる傷の舐め合いではない。ここはさすがプライドの塊だと・・・。傷口を舐め合うのではなくお互いが社会に打って出て認められる。それこそが最も最優先に来るものでしょう。弟の存在は物書きキャロルにとっては、もう探してもニッポンにはいないという程の人物であるし、シゲコだってこのような行員、全国行脚で探しても見つかるわけもない。どうして?キャロルの身辺にはこういった未曾有の人材が集まり、ひとりではなく何人も・・・。ハトコだって、シゲコとは疎遠になっていますが、剣道六段の元九銀出身者。なぜ?すべての九銀メンバーと離れてしまったのか?この時の赤っ恥処遇から端を発していて、シゲコが銀行の誰とも付き合いをしなくなった・・・という哀しい起点。こういうことがあってもへこたれなかったのは、キャロルにはペンがあったからです。もちろんペンが剣なのだ!!という処の攻防もありません。日々精進していれば、いつかは、尋常者の目に触れて、わかるべき人が出て来る。弟だって、まだ父の介護は本格的には3月25日からです。9ヶ月経過した処なんですよね。それでも介護者としてのプライドや本領が見えて久しい。ただそういった弟のせっかくの発見が守銭奴主義に陥らないために、キャロルの訪問があるし、金銭でしか人間や物を計らないという、突出した一観点が彼にあるからなんですね。