サファイア・マン《緻密な男編》〔11〕協議離婚に応じるような男ではなかった・・・それがキャロルの繁栄に寄与したと思うのは早計です。娘からこんな、手ひどい仕打ち発言を受けるのなら、あのとき離婚していれば本当にこんなに辛い瞬間を迎えずに済んだと。キャロル自身が結婚には不向きだったし、相当無理をしてきています。それは、精神的に未熟であったせいもある。自分の身を粉にして家事にいそしむことがなかった。書く事を優先してきたことに最高の誇りを感じますが、剣もほろろに二人からは言われました。収入がないから単なる趣味だよ?偉そうにするな!って。それでもキャロルは彼らを許します。自分は何を言われても、書き続けるし、趣味でも十分に生き甲斐があるって。弟のことをこの二人、何を隠そう鬼畜って呼ぶんですよ。鮮明な線引きにもなりますよね。彼らは何かを間違って今日まで来ているし、キャロルは可哀想になったんです。弟は鬼畜ではないし、キャロルも同じ落ちこぼれではあるけれど、最近、弟のこころ掛けを再評価しているのです。親の年金に頼らざるをえなかった背景もわかるし、間違っても鬼畜ではない・・・と。一体、彼らは何を見ているのか?不安になった程です。そして、弟の方が、人生の勝ち組になりそうに思えてくるのです。いじめに負けず、しっかりそれを噛み締めてきた弟・・・。誇りにします。そして、世の中のどこかで、迷子になったのでしょうか、鬼畜などという2文字で、妻の肉親を括るふたりにカツを入れました。それは何かの間違いでしょ?上から目線で物を言わないでって。