ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔63〕アパートに戻ったキャロルは夏休み終了とともに民間の家に昼間は預けられます。日曜日以外はその家で過ごすことになるのですが、しょっちゅう、熱を出して家人を右往左往させてしまいます。その家は西浦上駅の踏み切り砂利道を渡って少し歩いた場所にあり、家は汽車の音がするくらいで、滅法静かでした。10歳くらいからはキャロルは元気にはなるのですが、この生まれて何ヶ月のあいだ、とっても息が苦しくて、それはなんらかの肺の病ではなかったか?と。息を十分に吸えず、吸おうとすると横隔膜が痛みでどうしようもなく、これは大きな病か??と思いましたが、10歳くらいで序序に治って行きます。ただ、二歳までに肺炎や百日咳を患いほとほと両親は参っているようでした。この家、静かな家で、寝かされて、キャロルは猪突猛進にも思考を廻らしていたのです。あんなに教育ママの母でもいないと寂しいということでした。戦々恐々の夜は確かに♪を覚えさせられて、紙鍵盤を枕の下に敷いて怖いは怖いのですが、日中の気だるさがそれを懐かしいものにしてしまう?その不思議で、もうひとつは、この国の家庭人はあまり物を言わないということでした。赤ちゃんがいるから、静かにしているのでしょうが賢い家なのだろう・・・とそう分析して、なおかつ、あの矢上の実家での騒動を思い出してはこの国についての論議を始めていたのです。まず、あんなにけちょんけちょんに母親であるミチ子をけなす場面です。ここは修正がかなり必要となる部位。母が哀れでならなかった・・・。乳幼児キャロルが母への愛を満タンにせざるをえなかったのは何を隠そうあの罵倒があったからなのです。