折衝役を任されて、母親ってのは大変なんだよね、例えば、父から息子へ。こういうときには、キャロルは自分でちゃんと伝えなよ!と回答。中に立つということがどんなに大変か、場合によっては非難されかねない。ちゃんと伝えてなかったとか、俺はそんな意味じゃなかったんだとか。ついついやっちゃうんだよね、それは母親に驕りがあるからなんだ。子育ては自分が上だわ!とか、息子のことを最も知っているのは何を隠そうワタシってね。仲介やその折衝ほど、大変ということは父から学んだ。父は、タヤの前では、タヤを立て、妻ミチ子の前では君の言うことに異存は無いという無難な姿を継続していたが、ある日、けちょんけちょんな眼に遭う。母が、階下での父の物言いを全部襖を開けて聞いていたのだった。普段は、しっかり閉めていたのに、そのときは母に直感が働いたのだろう。上ってきた父はまず押し倒されて四の字固めのワザに掛かる。ころころ上と下では言っていることが違う。それでも男か?武士に二言はないはずだぞ!お前は男ではない!ご、ごめんなさい、た助けてください~って言いながら、二日くらい父には声を掛けてやれなかった。そのブザマを見たことより何より、折衝という仕事の危険さを慮っていたからである。