ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔49〕人のこころや、神のこころが見えてしまう、それ程、難儀なことはありません。しかしながら、キャロには、使命があって、母の思いを分析しながら、この国の思想の連結を貫徹させるという・・・。貨車はそうね?四両があるでしょうし、先頭車両には精鋭が常駐、ニッポンの旗ではないかもしれない、でもね、この国が敗戦によって、叩き付けられた、民主主義ではあるけれど、どうにかこうにか、乗り越えて来れて、まずは、そのことに感謝しましょう。先人たちの戦火に散った勇気の結晶。忘れてはいませんし、新聞を手にとらない母でも、それは、重々、承知していたことでしょう。キャロを取り巻く環境は病院のベッドから、あのチトセピアの前身のうさぎ小屋のようなアパートに移動を間もなくに迫っていたのです。母は教員の産休が終わると、学校に戻らなければならず、すでに目星となる民間個人宅にキャロを昼間預ける手はずを整えていました。