ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔124〕転園した幼稚園も無事卒園し、矢上小学校入学への駒を進められることにキャロはこころの安堵を感じます。それ程に罪深い自分の窮地を救ってくれた東長崎という新天地。それに従わざるをえなかった母の英断をキャロは有り難く思うのです。自然に囲まれ、この自然を余す処なく味わえることって、当時なら当たり前の牧歌的ニッポンでしたがキャロには事情がありました。本当なら幼児鑑別所があったならそこへ入らなければならなかった身でしょう。そういう厳しい認識のもとに日常が展開していて、小学校に入ると同時に、さらにいい子を目指すことが念頭にあったのです。タヤさえ知らないキャロの過去。父親も母親も罪を封印することで子の無難を勝ち取ったのです。キャロは許されていることへの感謝をきっと人生で恩返しする自分だろうか?などと偉人物語のようなことを想像してみますが世間の塩辛さを肌で感じた経験は教えてくれます。あのときにこう世間神から聞いたようにも思うのです。お前を五十年間は封印するぞ!?と。厳しい言葉にキャロの心臓は戦くのでした。誰もが人生の設計図を誤ることは有って、それがその後の人生で吉と出るか狂とと出るか、全く計れないという実感でしょうか。キャロの小学校はふたつの幼稚園出身者で占められていました。