ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔26〕自宅に戻ったからといって、弟の面倒も一日だけ。キャロは先を急いでいました。疾風のようですよね、あの時に、もっと、弟の話を聞いてやるべきであったし、彼のこころに相当鬱積は溜まっていたのではないか?と。キャロは諫早の川べりにあった、ハンバーグの店、ダンケや、あの天満アーケードで、まさお君とバイトした、おしゃれな喫茶店を郷愁のように懐かしみます。一体なぜ?また戻ることは可能のはず?まさお君が来たら、状況が変わっていたとも思えません。それを、いっちゃあ、おしまいよ!!っていう語群をキャロが口走ったのが、いけなかったのです。キャロは、将来性を口に出したのです。オリジナル曲で、せつなさを、存分に出して、自宅で、二曲完成しました。それは、涙出てくるほどに、悲しい、女の楽曲。歌いだしはこうです。奪われてもいい、捨てられてもいい、私はあなたの、意のままよ・・・。あまりに、かなしくて、母が、タバコをくゆらせながら、遠くを見たのを覚えています。人生には、夜の世界というものがあって、歴史が夜に、塗り替えられる、その真相の部分にまた、いつかは、挑むであろう、そういう懲りない部分があって、自分をたくましく思ったほどです。