ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔239〕その頃の小学校では転校していく生徒の新住所を黒板に書き出して、皆で手紙を書き、投函するという風習があって、千鶴ちゃんがようちゃんが学校に行っている間にも転居していることを知ったようちゃんは後悔します。なんで、彼女がその家を去る時くらい見て送ることが出来なかったんだろうと。自分のきめ細かではない情緒の部位に怒り心頭になるんですが、もしも、こっちが尋ねていたとしても千鶴ちゃんにもわからなかっただろうと、担任の中村先生は言うのです。子供は親の決めた通りに動かないといけないし、それが急に決まることがある!!って。自分を責めているように先生には映ったのか、ようちゃんは心ここにあらずの心境だったのです。愛知県知多郡......と先生は黒板に書いていくのを写しながら、目には涙が一杯になっていたのです。彼女には時間がなかったのに、ようちゃんは自分の仲のいい友達に振り回されていたのです。この強蹴にも似た出来事がようちゃんをボランティア星人に駆り立てていったといってもいいでしょう。時間があった数々の旧友や幼馴染と少しずつ距離を置いて自分というものをしっかり見つめていた時期になります。彼女が余りにも清楚でしかも他愛のない生徒だったゆえに、勉強の進度とは又別の生徒の本来の魅力にぞっこんになってしまっていたのです。