ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔232〕転校生がまたやって来ます。今度は近所の長屋に越して来た細見の女の子。ようちゃんは一瞬で心奪われます。しかし彼女はこれまでの転校生とは違って、家庭が巧く機能していないように思えたのです。いつも何かに縛られているように見受けられて、しかしそれはある一面ではいいことだったかも?って。当時、子供達は田舎に行けばいく程、学校から帰宅すると家の手伝いをして、子供の時間を、親の為家の為に使うことも、家によっては義務付けられていて、その女の子がようちゃんと遊ぼうとすれば、かなり、無理をしなければならないという宿命を見るのです。家はご両親と子供達は四人はいたでしょう。乳飲み児の泣く声もします。どこかで、ようちゃんには覚悟はあったのです。彼女が今という時間を紡ぐのなら、自分もそれを一緒に体験出来ないか?しかし家の中までお邪魔して、靴はまだ脱がずに、玄関の中で立っていると、立ち往生の状態になるのです。これは駆け引きでした。千鶴ちゃんは親の前でストライキを決行していたのです。せっかく出来た友が遊びに来ている!!家に上げることは無理でも、私も一緒に外へ連れ立ってもいいでしょ?って。彼女の切ない勇気がようちゃんは嬉しかったし怖くもあったのです。その家にとってようちゃんは招かざる客だったのです。