ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔219〕亡くなった叔母には、ご近所にも親類にも沢山のファンがいてその叔母の人気に、亡くなってから驚くようちゃんでしたが、母にも懺悔に似た後悔があって、なぜ二階と一階にいて仲良くなれなかったのか?ようちゃんにくすぶる疑問符に母は涙で謝罪しているようで、気の強い母がどんなに自分の本心を押し殺して生きてきたかをまざまざと見せ付けられる。女性同士の友情関係の難しさやその背景にある戦争の影に焦点を置くものの、ようちゃんはまだその時、脇田大佐のことを知らないのです。そして人に対して全く壁を作らない自分のような人間ばかりではないことを強い示唆にするのです。頭がいいはずの母も叔母も自分の思いさえ論じあえず、日々がただどんよりと過ぎて行ったこと。女性特有の苦いカリスマをようちゃんは頭に起き念書として心に刻む。母も美知も現実には戦争の影を背負っていて、しかし、原爆症のひとつである白血病で亡くなったと聞かされても、それがはっきり証明されることもなくただ、ようちゃんにはどうすることも出来なかった美知の運命を儚むのです。彼女がやり残した事の第一位が短歌ではなかったか?と。