剥製を、初めて見たとき…

 映画の中でそれを見た。部屋の高い場所に動物のシカの頭が架かる。アメリカの映画だ。あたしは子供心にも理解していた。さも、生きてるように、見えはするけど、それらしく見せているだけ…で納得が出来た。しかし、暫くして、類推は起こる。人生で最も恐ろしいことは、死んでるように見えていた者が、生きていることではないか?剥製は飛び掛かっては来ない。しかし、死んでるはずであり、尚且つ、生きている生き物は、飛び掛かってくる可能性がある。あたしは幼いなりに、頭を働かせた。剥製の対極にサクセスがあること…そこに覚醒していた。