デニム・ブルー・サファイアママン4の18

 あの子は興味のあることに、とことんのめり込みますが、冷めるのも速い。そこは顕著な性向でこの冷め易さが実は問題ではなく、次を常に用意してくる、そういう点が注目ではあったのです。本を読むことも大事で要領はわきまえつつあったものの、最初から抑え付けた要諦を全く受け付けない。猛烈な抵抗があるのです。それはおかしい、違うんじゃない?って。だから静かなものが逆にいいのかも?って私が好きだった、お風呂やさんに連れだっていくことが多かったのです。お風呂やさんは決して静かではないって思われるかもしれません。しかし私が唯一、自分の心は解放される瞬間はあのタイルに囲まれた時だったのです。脱衣所で、話に耽るおばあさん、その人は誰も聞いてなくても話しています。しかしやっぱり私と娘が入ってくることでその話、聞いているわよ?ってなる。次から次に入ってくる人からお金を採る番台さん。当時は直で渡していたのです。回数券もようなものは出てない。戦後の十数年はかなりお風呂やさんは流行していたと言えます。私は今のS東美に近いお風呂やさんが大好きで電車に乗って出掛けていたのです。衣料品のきのくにやもあって、人々が現代化へと向かっていたそのころ、アーケードへ向かう橋の上で、よく見かけたのが元傷痍兵と思われる方が座って、みんなが小銭を投げていた姿です。戦後はそういう風景が至るところで見られたのです。