デニム・ブルー・サファイアママン2の5

 世の中には自分が全く知らない世界がある。このことは、あるとはわかっていたものの新鮮だった。ひとつも間違いのなかった自分の父親でさえ、戦争でああなったことを思えばすべてが疑心暗鬼。いや、逆に言うとすべてがゼロから開始だったと言わざるをえない。夫に選び所帯を持ってみたものの許しがたい点がいくつも見つかった・・・もう着の身着のまま、逃げるしかないっていう打ち明け話を聞き私は自分だってそうなる?可能性はゼロではないと気を引き締める。しかしMさんという女性だけではない。妻であるという立ち位置は全員違う、しかも妻とは不思議な生き物。そうやって包み隠さず自分の事情を話したあとは、あっけらかんとして、また元通りの生活に戻れるっていう態度。半信半疑だけどそれが女性の惰性ではないか?ってふと感じるのです。理想は大きな頂上としてそびえ立っていても、我々にとっての日常とは微々たる感情と相和していくしかない、それが運命でした。私のお腹にいる赤ちゃんは私の心を全部見ているのでは?そこを感じます。いや、それだけに頼もしいとさえ思える自分がいたのです。ミチ子という名前は父親、喜一郎がつけたのでは?母に質問するのをすっかり忘れていたけど新しものに目がなかった父親ならではの命名でしょう。私は脇田ミチ子から和田ミチ子に変わっていった。生徒のみんなが祝福してくれたのは言うまでもありません。