ルビー・ウーマンr351 恐れ大きいことに、あたしはオーナーに父の出馬を話してみようってある日突然、降って湧いたように思うのです。上流階級のオーナーが選挙をいかに捉えているか?そこではなく興味しんしんとなったのはそういう父のような猪突猛進型にオーナーがどう反応するか知りたかったのです。昭和一桁生まれのオーナーは常に時代の先頭を走ってきた訳で、長崎のことで知らないことなど皆無。どこぞに店がオープンでも真っ先に知ってる情報派。映画のことにもファッションにも詳しくてそこで得た知識がおのずと会話にも表れてカッコイイ紳士であることは言えた。しかし私は自分の顔が不細工だったことで、女性採点にも美貌とは違う観点が実際にあることを知らしめるとすれば、ここはチャンスと捉えて、ざっくばらんに話したのです。父親が選挙に出るので、人物紹介パンフレットを投函しないといけなくて、暫く八時位に出勤になるかもしれないって。オーナーは話を全部聞いて暫く考え込んでいるようでしたが、いいよ!!って快諾だったのです。しかしそこで幾らかが基本給から引かれるっていうことを、ちゃんと解っているなら僕は構わない。わざと明るい顔をして私は投票日までは父を支えたい!!ってもう一回連呼したのです。思いやりにたけた娘であることが解れば欠点を補う要素になるかも?は私の中で期待の渦になっていました。するとオーナーはもう一回、父の名前を確認したいって私に尋ねるのです。商売ではクール一徹で割り切って久しいオーナーの別の一面、情が深いをとうとう発掘したぞ!!って私は喜ぶのです。