アクアマリン・マンam51 俺の担当は週一回でそれがこうして皆の注目を浴びるかと思うと何だか騒々しい心になって来る。心とは、俺にとっての個々露。それくらいひなびた田舎育ちの恥ずかしがり屋の少年だった。しかし大学を出て就職に失敗して俺は自分が本当にやりたいことに目が覚めた。もちろん一気に覚醒した訳ではない。どんよりと曇った空の薄日のように、毎日同じことを悶悶と考え続けた。一応結婚の意義や役目は解っていた積りではあったが、お互いが助け合うという種類の気持ちはそう長くは持たないんだな?は俺の結婚での発見だった。職に就けないなら職安に行って内職でも探して来てよ?って嫁は再三再四俺をこずいて金切り声をあげた。そんな声にもいつか、慣れ延びて、どんどん鈍感になっていく俺の姿は夢遊病者のように相手には映っただろう。為すすべもなく警告を無視してとうとう長期の職には就かなかった。嫁が離れて行き易いように、もしかしたら計画したのかもしれない。そういう自然別居を俺が自分で無意識の内にも仕組んだのなら、推理小説家になれる位恐ろしい顛末だと思うのだ。俺はいつでも話し合いを持ってしかも、相手が戻って来るのなら受け容れようとは今さすがに思ってない。長い時間が両者を別の人間に仕立て上げた。いや、これは語弊がある。お互いがお互いを尊重して、離れている方が上手くいくとの結論が出たのだ。いつ俺が死のうと、枕元にはいない事実が、結婚を終着駅〔ラストストップ〕にしたのだ。