ルビー・ウーマンr312 二人の一人がピアノとサックスでもう片方がピアノのみ。双方男性だったのです。サックス吹きは心が外交的でいつもホステスの間に分けいって来るくらいにお茶目ですぐにも打ち解ける。もう片方はシビアに見えました。開襟を開いて来るタイプではない。私は音楽談義をしないっていうのも志向が固まっていたこともあったんです。どうね?ピアノ弾こうとは思ってないね?とも向こうは尋ねては来ません。しかしナンバーワンの人が余りに宣伝したもので私は出来るピアノ弾きに勘違いされていて、私はその時に悟るのです。中間に位置する人の弁舌で人生もいかように変化すること、もしも才ある人で伴奏にも秀でていればここは格好の転身場面だったでしょう。中間マージンならぬ中間魔人です。しかし音楽以外、他に世間話は山程あって演奏の話にはそれ以上ならない。私はしかし、好きな楽曲があって彼に注文を出すことは頻繁にあったのです。煙が目にしみるっていうサックスとてもいいから、それリクエスト!!ってな具合。選曲は彼らのさい配でもあったのです。どれっちゃいいという事はないですがチークダンスが踊れたりジルバが出来る曲ならOKでした。しかし店はフロア一杯ボックスで固めていてそれこそ演奏ステージに近いほんの四畳半くらいのスペースしか獲れない。それでも顧客達、ホステス達は踊りに自分から出るという姿勢でいたのです。