エメラルド・ウーマン《深窓の令嬢ダブリュー編》〔82〕里子はダイエーからイオンへと鞍替えした店の玄関に立って深呼吸します。階段を降りて右を見るとCDがあって東京スター銀行。これがあるお陰で随分リーズナブル。軍資金は依然として減っていく毎日を恐る恐る暮らしている自分をこう揶揄しました。爪に火を灯すようにって。日本語の深淵をこれほど伝えてしまう言葉も少なくてこれからの生活設計にピントを合わせるのです。足を棒のようにして毎日沢山の場所に行く割に、思考の原点は毎日同じ座標を表していてそれは生活の将来的安定だったのです。この保険会社もいつどうなるか、解らない。それなら今あるお金を減らさない生活が最も基本にあるべきで、イオンの八時過ぎた現場で割引になったお惣菜を見て回るのです。それは九時になればもっと下がる可能性もあって、里子はまるで痩せこけたベンガルトラのように惣菜物色を続行していたのです。一日分ではなく二日分買うのなら、八百円は使えるぞ!!と頭の中に閃光が走り、しかも割引商品を買えばその分がお得になる!!って。例えば一日に四百円を食費に使えるのなら、三日分なら1200円分買える。しかも半額になっていれば二倍買える!!って。しかし冷蔵庫がなしが頭打ちでした。プールする場所がないなら今日の分か、長くとも明日の分までか?って。