墓を売ってしまうかもな弟を俺は黙認することにした。なぜなら、俺は和田家の人間ではないし、そこまでの拘束力や発言力はないからだ。しかし、この思いは決して諦めではなく、弟に対するところの《希望》でもあるのだ。俺は銀行員になって、人を見たら泥棒と思えるように成長したし、その方がミスをしないで済むことを若い内に会得した。この世で信じられるものなど皆無、どうしても挙げるなら家族だけだ。それでも俺はまだ、優しい方だ。田舎者独特の、温和な性情がまだ、俺には残っていて、墓まで売れる弟なのか?いや、それはない、そういう結論が出たのだ。こういうことを、履行すれば、その墓業者も同じ不運を今生纏うことになって、いずれ白日のもとになるだろう。俺は自分が今不思議に思えてならない。なんと性善説型人間に鞍替えしているのだ。デルスカイしておこう、文豪が控える家族のしきたりだ。It is life Field having one grave,too