ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔226〕一泊くらいなら逃れられる言い訳も出来たんですが、父の周到な圧力はその後、ようちゃんが店を辞めるまで続行して、自分自身の未来まで包括されて行くようで、その網を搔い潜って生きたい願望が徐々に芽生えていったのかもしれない。その部屋で十分に貯金を蓄えると思ったものの、人生は止まり木のカウンターまで来た青い鳥のようにすぐに結果は出ないのです。スナックは思った通りの繁盛で、ご家族で経営されていて、そこの娘さんも同年代女子で一緒にカウンターに出ていて楽しかった。どうしてもお金がない時は、前借りもやむをえないかも?とは思ったけれど、バンスの怖さを若い時から見てきた反面教師が居て、自分で給料を稼ぐまで待ってもらう方がいいかなあって。源氏名明美になります。親しみ易くそして誰にも素直に明るく応じる性質にピッタリで可愛がられます。ようちゃんはアルバイトで、基本に美容学校通学があったから皆が大切に扱ってくれたのかもかもなあって。なぜなら、アルバイトだけの身分ならあんなに素人扱いをして、慎重に扱ってくれたかなあ?っていう起点はある。誰もがお金の為に働くというのにようちゃんには付随しているドリームバス路線があったのです。