サファイア・マン《緻密な男編》〔162〕ようちゃんには他に行きたいパチンコ店があって、しかし店を出て歩き始めて、そろそろそこも閉店の準備に入り掛けたことを知るのです。このパチンコ店に朝日新聞を配っていたことで思い出すのです。なんという奇偶でしょうか。外からいつも眺めつつホールの中の鋭機に憧れていたスペースインパレス。三十年前だというのにほぼ今のぱち屋の都会感を保っていて、それは玉川小学校へいく道すがら見えるような位置にあって、しかしその夜は行くことが出来ず諦めるのです。大橋駅西口ベンチは肌寒くて日曜日シゲルちゃんとよく豚足を食べに行った店が顧客を迎え入れています。自分はなぜ、こんな夜中に外にいるんだろうと思いを連鎖させていくと電車の駅がひとつつ”つ頭に浮かんで来ては消えるんです。天神、薬院、平尾、高宮、そしてやっと大橋。なんでわざわざ、四つ目で到着の駅、大橋一丁目を住まいに借りたんだろう。またいけない憶測が頭に浮かんで来ては消える。会社に隠すために??それだったら明日から彼をマンションから追い出したろう!!自己決着は速かったのです。