サファイア・マン《面白い男編》〔144〕パートナーがどういう人生観を持っているかで結婚の意義も中身も替わってくること、それに気が付くのが遅過ぎで自分でも戸惑います。父の望むような寛容溢れる人間ではないキャロルは伯母と時々固定電話で連絡を取り合っていたのです。母には心配をかけたくない場面で、もともと少女の感性のままで来た母の神経をこれ以上磨耗させることは回避したのです。伯母は生涯、自分の子供を授からず、甥や姪のために奔走したような人生でした。キャロルのことにも誠心誠意、助言してくれて、この言わば明治気質の伯母がどういうわけかキャロルの器量をとことんけなし、そういう器量良しではない女性だから、どうにかこうにか性質はいいものを貰って今に至ると、そこまで言うか?と思う位、けちょんけちょんであったのですが、母親には無いイイモノを容子ちゃんは身につけて久しいとお褒めに預かったのが心の優しさだったのです。そこまで誉められても何も出ないよ?と言いたかったのですが、元来において人と必ず親睦に持ち込める好感度を伯母は言いたかったらしくて、寂しがっている人を決して見殺しにしなかった心の器量を長所として挙げてくれたことを忘れないのです。