サファイア・マン《かけがえのない男編》〔56〕キャロルは父に愚痴を言われたことは多々あるものの一回も手を挙げられたことはない。思い返せば父は度重なる母からの暴力でひとつ重大なものを会得したのかな?ってほろ苦くなる。一度も母から誉められたことがない、母、すなわち妻ですよね。こういった男性が走るのは、唯一独我です。タヤがそういった英雄願望を持っていましたから、このひとり息子の父が止まることのない自分立脚に明け暮れたこと、決して理解不能のキャロルではないのです。ニッポンは確かに素晴らしい・・・しかし敗戦を機にニッポンは全く別の路線を取ったとは言えるでしょう。しかしニンゲン生活の基本は変わりません。人生での活躍と才能は堅く密着しているもので、父の視点が幼いキャロルへ注がれたことは言える。しかしながら六歳下の弟誕生で、父は基本目線を弟に移行したのではないでしょうか。この家庭生活を磐石に持って行く事は、意外にも現代ではまな板に上がること自体少ないのですが、これは非常に重大なことです。結婚とは家族になること、あらゆる政略結婚をも含めて。ここで課せられるのは、生半可な気持ちでは解決出来ない難題。そう推し量ってください。結婚生活を、父は愛するキャロルの為に耐え忍んだのです。