サファイア・マン《かけがえのない男編》〔54〕人生に於ける家族を母はどう捉えていたのか?そこは興味深いし恐らく鍵になるでしょう。男に寄りかかって生きないと生きて行けない訳ではなかったろうに、母の生活は結婚を起点に難しくなります。恐らくひとりで生きていたい、そういう自由のガンポンを父の言葉が翻してしまった可能性?でも父は母と結婚するときに当初隠しています。自分が以前結婚していたこと、そして子供を相次いで亡くしたこと・・・。それに激昂して母は男というものが分からなくなっています。しかしそこに踏み止まるんですね。嫌な事ばかりが降りかかるのになぜ?一緒に家を出て一夜を明かしたこともあるのです。それなのになぜ?と後年母に問い掛けると、母は覚えていたの?とびっくりするのです。ホテルで一夜を明かし、どこぞにアパートでも借りていれば、母は大嫌いな和田家を出ることが出来たのにそれをしなかった。弟がお腹にいたことも大きな原因です。オンナにとっての出産とはそれ程、重大な人生での一大事業だといっても差し支えはないでしょう。脇田家の財産を分けて、母には貯蓄も相応はあったのです。お金によって方向性を決めたのではないのです。この娘にとっての東長崎。海がとってもお気に入りで、矢上神社もバックボーンとして馴染み始めている・・・。バックボーンこそ、コロコロ替えられないのでは?母は慎重でした。