俺の凱旋ことオレガイでは今日、キャロルの付けた俺へのニックネームを紹介しよう!!もう二十年以上、俺はこのニックネームで呼ばれているからとても馴染みが深いのだ。トリガラのようにやせ細って、もう何も出汁が残っていないという、相当の皮肉も交えて俺をトリガラちゃんとそう呼ぶ。でも俺はなぜか嬉しいのだ。トリガラスープこそ料理の基礎だろうし、人生でこれ程、全力疾走したニンゲンはそうはいまい・・・と。キャロルはトリガラはスープの為にすっかりエキスを排出してしまえばもう何も使い道がないとそう思っている。しかし俺はちゃっかり反対を予測する。自分のことだから言いにくいが、トリガラにはトリガラの使命がちゃんとあるのだ。誰にも真似の出来ない人生の驚愕を伝える雄雄しさよりも、平々凡々の幸せを俺は採った。価値観が少しキャロルとは異なる。これからはすべての人達にお返しが出来るように、みんなをじわじわと開花させるために、目の前に現れる道から選び取りながらキャロルと共に進んでいくものだろう。先取〔せんしゅ〕の能力の大切さは随分前から言われてきたが、己の直感と経験と運と選別力が作用するのだ。