ルビー・ウーマン《黎明編》〔9〕父が発する言葉が求愛であることは、重々承知してはいたものの、母のこころは、その海が発するブルーに彩られて行く…。脇田大佐と暮らした、逗子や、御殿場を思い出して、胸が熱くなっていたのでした。景観にこころが、高揚するということが人にはあって、実際、この男と暮らすこともロマンではないか?と・・・。耳を澄ませば、登山中のこの町に住む人々の話し声や、威勢のいい掛け声。確かに田舎だけれど、別に、住めばいいじゃないか?タヤやその家族達とは恐らく、別居だろうし・・・。強い取得意識が母にはありました。自分の気持ちに正直な生き方。他の誰にも迎合がない。そういった、自我が自身にあることはこの先、生きていく為の味方でもありました。この先を、一緒に歩んでいかんね??父からの声が届いたときに去来したのは、戦後のニッポン人達の怒号であり、態度豹変だったのです・・・。