ルビー・ウーマン《復讐の館編》〔12〕伯母は、中々出て来ないキャロに心配して声をかけてきます。やっと我に返ったキャロは、みんなの前に現れます。な、なんと、彼女は、ウインクしてきます。明日、計画があるのよ、チョメチョメ・・・。伯母の前では言いにくかったのでしょう。理系、文系、両刀使いで、しかも音楽、体育の面でも、優れていた彼女を目の当たりにして・・・キャロは、確実なエリートへの順路に居る彼女に、淡いジェラシーを既に感じていたのです。学年で、常に三位以内、しかもピアノに至っては、ソナチネをとっくの昔に卒業、難関のソナタ集に入っていました。天を、仰ぎ、キャロはこう言いたかったのです。天よ、天、そなたが、すべてを与えし、少女が、正しく目の前に・・・。天は二物を与えずの、あの格言が、音を立てて、崩れてしまった瞬間でした。