ルビー・ウーマン《復讐の館編》〔10〕キャロは一緒に寝泊りしている、中学一年生の、その女子の聡明さと、スピード感にたじたじになります。夏休みの宿題は、ものの一時間で、完走。二学期の予習やってるんですよ。飛び級が当時あれば、その類ですよね。キャロはじっと観察するだけ。煮ても焼いても食えない自分だったからこそです。上から目線で覗いてくる彼女。今こそ、あの事案を解決するには絶好のチャンスなのでは?もってこいの時間帯なのでは?むくむくと好機は、畳み掛けてきます。彼女のお母様が医師だったからです。キャロは、舌を、ベロンチョと出したときに、ぎりぎり見える、ぶつぶつが、気になって仕方なかったのです。がんは、当時、死へのプロローグでしたから。この、三、四年は、悩み続けていた。親を悲しませると想うと、質問も出来なかった。ねえねえ、私の舌を見てくれる?円い赤いぶつぶつ、これ、怖い病気になってないかって、ずっとずっと、悩み続けてきているんだけどォ。どれ、みてあげるわ!ここんとこに、あるでしょ?、赤いぶつぶつ。すると、彼女は、でんぐり返って、笑い転げるんですよね~しばらく起き上がれない。こっちは、舌癌に違いないって思い悩んでいるのに、相当に失敬だなって。