デニム・ブルーママン10の14

 美人薄命という4文字に立ち止まる私…想い返せばあの縁談は美知にとっては最後のチャンスだった…しかし、正直で控えめな彼女は、みずから自分を前に出すことはせず、あくまでも相手の医師の返答を待っていた。現実の猛威は妄想を打ち砕いてしまう。そのことが彼女をもっともっと芸事へとのめり込ませていったと推測します。美知がもっとも多くの人々から読まれた短歌はこの一首になります。稲の花 秘かに咲くか 田の畦を 歩みて来れば 青草匂う(ほんの一瞬しか咲かない稲の花を捉えた)