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 僕はここ数日もの間、本物と代替えについて考え及んでいた。特に芸術は無尽蔵の意識や志向を包括してそれに輪を掛けて体現も加わって存在そのものの定義が多様になった。フィクションとノンフィクションだ。しかし僕は運がいい。大リーグは放映はお休みで、そのチャンネルでルーベンスの絵画を目にする。これが芸術の根本ではないか?が閃く。フランダースの犬で日本にも馴染みあるはずが、肝心の代表傑作を僕は見たことはなかった。この番組はミシェルさんとその妻が800キロの船旅をする姿を追っていた。ノートルダム大聖堂というから、フランスと思いきやベルギーが出て最後はオランダの風車に辿り着く。僕は十字架から外されるキリストの絵に感動する。それは時間と空間を取り持つ時空の扉の向こうから現れた絵画だった。芸術は多くの類型を総括しつつも、ひとつの核心を提示する。それを分かつ自分がいた。