サファイア・マン《緻密な男編》〔147〕人生を変えるようなプレゼントを思い描くことが出来たのも、この子に対する詫びる心があって、それは引っ越して来たというのに新天地での生活設計は思うように行っていなかった・・・という焦りもあったのです。遅く帰宅することの多かった彼とはいえども。そこでは本社勤務で夜の七時には夫も帰宅しみんなで食卓を囲むことが可能であったはず。それなのに自分の中で躊躇が起こり、彼だけ別の食卓を作っていたのです。子供達は全然別のリビングの籐の長椅子のあるガラステーブルで食事をさせて、彼の城を守ったのです。小さな拘りでしたが、この待遇が彼をもっと助長させていったのは間違いなく、和室でテレビのある部屋で家族全員で食卓を囲む図式を作れなかった自分に後悔の念もヒトシオなんです。上の子供達を可愛がることはないだろう・・・との諦めでしたが、下の子供を極端にいうと厚遇するのでは?それによって上の子達が哀しむのでは?先回りし過ぎたようです。彼は家の中ではそんなに小さな器ではなかったのかもしれず、自分の偏見が残念でなりません。異父兄弟を順当に育てるということは自分に邪推が働く間はままならないのかもしれません。