イエローダイヤ・マン《標榜編》〔234〕忘れないうち書き留めておく大事さにも及ぼう。山本慈昭氏の物語だ。俺たちが想像を絶する満蒙開拓軍の内情を伝え、一年との最初の約束とは裏腹に、どんどん戦況が悪化しとうとう家族離散の泣き目をもろに食らった慈昭氏の生き様に俺は涙した。それは自分のことに終始しがちな人生の基本路線を大きく逸脱し、ほぼ他人の為に走り回って奔走した人生だったからだ。中国に置き去りになって別れ別れになった糸を手繰り寄せる仕事。千にひとつ、万にひとつの奇跡を信じながら彼は血眼になって政府ともやり合う。その誠心誠意の姿にやがてみんなが中国残留孤児事件を本当にわかるようになっていく。この経緯を見ていくといかに1人の秀でる人間の造作が国家基盤に影響を与えるのか?ここに驚愕の芽が宿る。みんながどうせ無理なのさ・・・と高を括るときに、いいや自分はこの問題にまっこうから全力で挑み続ける!!その果敢さ、そして熱意。今のニッポンにはない激情であり熱血である。与党の連中を観ているとこの慈昭氏の爪の垢を煎じてでも飲むべき・・・との観点になってしまう。政治家に漲るものの正体を忘れ去って、菅官房長官の顔は引きつったまま・・・それがすべてを具現している。