サファイア・マン《かけがいのない男編》〔138〕籐製のカウチがキャロルのお気に入りでそれにいつも横になっているのを彼女が気が付いたのか、まずその籐の家具の話になって、それに魅入ったことを知り嬉しくなるのです。長椅子は二つ、ガラステーブルを挟んで向かい合いそこに張ってある布の模様が好きだったのです。彼女も呼応し、籐家具の良さは自由なアジアを思わせて素敵ですよね?って。そしてまだお互いを良く知らない身でありながら、彼女は自分の境遇を話すのです。そこに警戒心はありません。キャロルも気さくに自分が再婚して今あることを話します。彼女は近いうちに自分も別れるかもしれない・・・などと言うもので、ダメよ!!とキャロルは即座に返すのです。なんで、ダメなんですか?こんなに幸せそうじゃないですか?って彼女は断固とした態度で溌溂として続けるのです。惨めな寂しい結婚だけど、話していると何だか気持ちも和らぎましたって。キャロルは自分の不幸を言うチャンスがありません。すると彼女は女性の本当の幸せって何ですかね?って軽くぶつけてくるのです。お金は最低限要るけどそれだけじゃない、その大事なものがうちには無いように思えてならないんです。彼女は悩んでいたのです。その気持ちの真面目さにキャロルもヒトゴトではない親近感を芽生えさせていたのです。