ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔166〕まさお君のおばさんは勤め先まで来て訊くのが最もてっとり速いとわかったのでしょう。このたびは・・・と奥様に挨拶に出ます。すると上品を絵に描いたような奥様はいいえ?とんでもございません、一緒に食事を!と言い出したのは実は主人なんですの!おばさんは話を手みじかに終え買い物を済ませお辞儀をして帰っていきました。奥様はキャロルに良かったわね?って目配せしてきます。そこでは全然遠慮は要らないし、ご家族の許しもこうして獲れたことだし、心配なことはなくなったわね!って。なんという心の機敏でしょう。ちょっと女子が知らない人と出掛けるだけでもいちいち了承を得る姿・・・それに反して自分はなんという親不孝。レジの仕事が終わっての帰り道、急激に母が恋しくなる。一回電話しても話すことが出来ず電話を切ってしまっていた。母はどんなに心配していることだろう。まさお君のお父さまの計画通りに来てしまったけれどこれはそもそも和田家で育った師弟にすれば確実な門限破りを超える条項にあたる?そしてそれはどんな言い訳をしてももはや成立しない処の蹉跌で、キャロルは家に帰りたい願望に包まれます。ここではみんなの気を揉ませるだけで、実際は何の意味もないのでは?いいえ・・・それも経過でしょう。ふたりで強行突破して来たからには結果を残さないと?って自分を取り戻すのでした。