サファイア・マン《面白い男編》〔98〕その頃のクラブでは七人くらいのフィリピン女子を雇っていて、彼女たちのダンスの巧さ、そしてニッポン語の上手さは天下一品。特にその中でも小柄でスレンダーな女の子がいてダンスの名手でした。キャロルは音楽を知った順番ですが、まず子守唄、クラシック、そして流行歌、ジャズ、このルンバやサンバがここで遭遇を待っていたのです。なぜそこまで虜になったかというときちんと定型が決まっていて、お客様と接近しなくていい利益が潜んでいたのです。キャロルはダンスが苦手で、ジルバも残念派で、チークダンスも嫌でした。こういうしんみりな場面に音楽陶酔はあってもなんであの顧客と?っていう疑問符がじわりじわり沸いてきて別のテーブルに行くと我に返るという性癖があったのです。音楽確かに素晴らしいものではあるが、それは相手と連動したときで、自分が奏でるときには音楽レベルはもっと違うし、別の数字を叩き出すものとの認識でいたのです。そういった音楽志向をわかってくれたのかルンバを一杯リクエストしてお店で研修してくれてしかも記念に!と指輪まで・・・。フィリピンの女子たちがキャ~キャ~言うのです。結婚しないの?するの?顧客は好きだから渡す友情の指輪もあるんだよ♪って説明しました。