ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔127〕まさお君のお父様はジャズを音楽の基礎としていたし、ハヤイトコキャロルがコードを覚えてくるのを今か今かと待っていたのを嬉しいけれど、少し怖い部分をキャロル先見していたのです。家族でバンドはいいが、この家族と一緒なら一生、お給金なしでさらに家事まで受け持つ??自分のようなヘタレではとても歯が立たないかもしれない・・・。キャロルには好きで好きで忘れられない人がまだ、こころの奥底から離れてはいなかったのです。ダンプの運ちゃんです。しかし彼ははっきり別れを告げて彼女のもとへ去っていった。それを思うと自分は夢に向っていかなければ?と背中を押されるし、しかしながら現実ってなんだろ?って迷うんですね。場末で確かにゴキブリが飛んでいた発見が大きい。確かに足を踏み入れた価値があった・・・しかしここでは練習中名目でお金が支払われないことが約束としてあるのでは?コードを覚えてみんなのメンバー入りをしてからでも遅くはない?と自分に区切りを入れます。一丁前でもないのにお給金を欲しがろうとする自分の想いが無垢ではないとハッパを掛けます。音楽のスタート地点がそんなものではやりきれないぞ?って。しかしまさお君は自分の父親がお金に細かい点をすでに見抜いていたようです。