良い人と書いて、夫・・・。俺はクレーマーシゲコだ。絶対にキャロルに屈服などしない。俺の虎の子は俺ひとりのもので、誰のものでもないのだ。汗水たらして、じぶんがせっせと貯めたお金が自動的に夫婦ふたりのものになる、その自動ドア的考えがそもそも間違いの原点で、金銭個人主義が俺に根強い。四十二歳まで、独身貴族だったし、その頃の気負いはまだ消滅していない。この男の拘りこそが、今特に大事という気がする。どんなことがあっても俺は虎の子を死守するし、一円たりともキャロルに出したりはない。