ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔89〕キャロルはふたりの子供を連れて西友で買い物して帰り、ちょうど6地蔵の前付近で、子供たちに気をとられつつも後ろを見ます。そのときはトラックに乗っています。ダイハツハイゼット。長女はまだ二歳と七ヶ月ですが、横にちょこんと座り首の据わった長男を膝にのっけています。後ろを見たのはちょっと怖くなったからです。雨が尋常ではなく降り出して、そこがちょうど西友からの帰りで下り坂道を終わった場所、今の赤フェスを過ぎたあたり、水の流れが勢い余ってこれは・・・ドライバー独特の勘でした。すると前にいたクルマにドンとぶつけてしまいます。やばい!!そう思っていたら、向こうは片側に寄せて降りてきます。電話番号を教えて下さい、後からかけますと先方は言われて、キャロルは固定を教えます。生涯で二回ぶつけています。もう一回は四十代、あみゅの前、長崎駅前でした。そのときにも雨が降ってて、このときはコチンでした。どちらも軽度といえば軽度ですが、心配になります。キャロルは家から出ずに、じっと固定電話の前で待ちます。いつもなら、子供たちを連れて、出かけるのにその日は缶詰になるのです。拘束されているように思います。時間を区切られたのもじぶんが相手にぶつけたからいけない。それにしてもかつて見たこともない尋常ではない雨・・・これは家に帰ってきたことが正解であったかも?アパートは六所帯入居していて横はカシオの社員用刈り上げ住宅になっていました。入り口一階には県営バスに勤めるご主人のもと家族四人が住んでいていつもキャロルの子供たちを可愛がってくれていました。