ルビー・ウーマン《ロイヤル・ボックス編》〔68〕家に辿り着く前に、父は従弟に遭って、事前情報をつかんでいますよね、ここが切り替えでもある。もしも従弟に遭わないなら、一気に家に帰ろうとそれこそもがいたものを・・・。もう大丈夫ばい!ここまできとるけん・・・。従弟に言われて、へなへなと座り込んでしまう。そういった一服感はあっただろうと。タヤは玄関に立つぼろぼろの乞食のような父を見て、驚愕と歓喜に見舞われます。よもや、生きているなどと。毎日毎日、仏壇に手を合わせて拝んではきていたが、それが報われるとは??なんという孝行息子だろうか・・・。やはり奇跡の息子に間違いないと・・・。父は、妹が原爆の中心地にいたにもかかわらず一命をとりとめたことを知ります。なんということなのか、嬉しさどころか、憤怒が沸いてきます。なぜこんな惨いことを・・・。若い頃の、25歳時くらいの父の写真を弟から頂きました。他の写真は全部捨ててしまったけど、これだけは、どうしても捨てることが出来なかったと手渡してくれた。髪もふさふさ。ええ?じゃあ、あのマラリアで髪が抜けて禿げになったのではなくそれは他の理由で?とキャロルは候補を挙げました。最初の結婚で子供二人を失くしていますから、まずそれを考えました。子煩悩な父にとって、どんなに深い哀しみであったか・・・。そして、次に考えたのはストレスや遺伝です。父は、二回目の結婚生活に於いて、相当のいじめに遭って、下男さながらの生活を強いられていましから、このストレスの線が濃厚かも?ってキャロルは思った次第です。